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センターの6次化事例
2019年7月16日

『長面浦(ながつらうら)自慢の海の味を多くの方に楽しんでいただきたい』


事例22


まんま・まりーの
濱畑 千代子 さん
西村 ハギ子 さん
神山 百合子 さん

まんま・まりーの 3人
左から、神山 百合子 さん、濱畑 千代子 さん(代表)、
西村 ハギ子 さん

バーニャカウダー風ソース
まんま・まりーのさんが開発した「牡蠣のソース バーニャカウダ風」

 

『長面浦(ながつらうら)自慢の海の味を多くの方に楽しんでいただきたい』

 

事業者:濱畑 千代子 さん(代表)、西村 ハギ子 さん、神山 百合子 さん

主な販売先:イベント出店、道の駅上品の郷、いしのまき元気いちば、コーヒーショップHAMA、エスパル仙台

6次産業化への取組:養殖している牡蠣の規格外品を活用した新商品の開発

取組後の成果:規格外の牡蠣に価値を見出すことができた。また、人脈が大きく広がった。

 

※石巻市6次産業化・地産地消推進センターを、
以下より「6次化センター」と表記いたします。

 


6次化センターへのご相談のきっかけ


『バーニャカウダ風ソース商品化におけるラベル作成』

 きっかけは3年ほど前に着手した、規格外の牡蠣を使用したスープづくりに遡ります。当時は、震災からの生活改善を目的とした石巻生活研究グループ協議会(はまなす会)の中で有志を募り、宮城県(東部地方振興事務所)の方にお手伝いいただき、「6次産業化・農商工連携チャレンジ支援事業」を活用して商品づくりに取り組んでいました。しかし、スープの味が一向に決まらず行き詰ってしまいました。そんな時、発想の転換で「バーニャカウダ風のディップソース」の案が出たのです。そこでこの案を活かし、バーニャカウダ風ソースづくりに取り組み、味の決定など商品の中身については完成しました。しかし、商品ラベルのデザインを現物に落とし込む段階には至らず、石巻6次化センターには、このラベルの仕上げ段階からご協力いただくことになりました。

 


濱畑さんと6次化センターの取り組み内容


『パッケージデザイン、原価計算、そして商品のブラッシュアップへ』

 石巻6次化センターの支援員の方には、パッケージデザインの仕上げを行うと同時に、今回の商品の原価計算をしていただきました。すると、想定していた価格での販売では、ほとんど利益が出ないことが判明したのです。実は、原価計算や価格設定を行わずに、先に商品が完成し、お披露目となってしまったため、売れる価格と利益を得るための価格に差が出てしまったのです。そのため、今年度は再度原価計算をしっかり行い、適正な価格への見直しを図りながら、売り先や、商品の中身のブラッシュアップを行い、商品として1つ上の段階を目指していきたいと考えています。

 


6次産業化に取り組んだ成果


『人との繋がり、規格外品の可能性が広がった』

 まずは何と言っても人との繋がりが広がったことです。イベント等、行く先々で出会いがあります。特に試食販売は、直接お客様から商品の感想などを聞くことができ、手応えややりがいを感じます。以前に商品を買ってくださった方に再会することもあり「この前の美味しかったよ!」と声をかけていただけるととても嬉しいです。

 また今回の商品は、規格外の牡蠣を原料に使用しています。これまで、小ぶりだという理由で商品にならない牡蠣は、自宅で消費したり、ご近所さんにおすそ分けしたりしていました。味は出荷するものと変わらず美味しいので、差し上げれば非常に喜ばれるのですが、やはりこれでは利益には繋がりません。しかし、このバーニャカウダ風ソースを作ることによって、これまでの規格外品にも可能性を見出すことができました。実際、水産加工会社の方や関係団体の方に、この商品の味を高く評価していただき、商品価値の高さに気づかされました。これがきっかけで、他の地域で開催されるイベントに、この商品を是非売りに来て欲しいとお声がけをいただき、商品の認知度も徐々に上がってきています。

 また今後は、仙台や関東圏など、この商品が受け入れられるような場所に自ら出向き、地元以外の皆さんにも喜んでいただけたら嬉しいです。

 


6次産業化への取り組みで苦労する点


『地元と関東圏の価値観の違いに戸惑った』

 まずはこの商品を地元で食べて欲しいと思い展開していますが、実は地元では価格が高いと思われることもあります。というのも、海の街だからこそ牡蠣は人からもらう習慣などがあるからのようです。それに対し、同じ商品を関東圏へ持って行くと、「こんなにたくさん牡蠣が入っているの!?もっと高くていいですよ!」と驚かれます。地域によって牡蠣に対する価値観が異なるため、価格設定の基準をどのように定めれば良いのか非常に悩む所です。

 また、加工商品を店頭で扱っていただくにあたっては、販売手数料がかかるということを今回初めて知ったので戸惑いました。これまでも、牡蠣そのものについては他県へ向けて販売してきた経験がありますが、それとは勝手が違うのです。販売手数料は、首都圏に近づけば近づくほど高く設定される傾向があるようで、安価で売ろうとすると、取り扱ってもらえる取引先も限られてきます。この点については、将来的にはパッケージを新たにし、重量や値段を変えたりして、都内にも置けるような価格設定をした商品にしていけたらいいなと思っています。

 


販売商品への想い・こだわり


『きれいな水質で育った牡蠣』

 ここ長面浦の牡蠣は一年牡蠣で、エグみ、渋み、磯臭さがほとんど無く、甘みがあり牡蠣が苦手な方でも食べやすい味です。試しにバーニャカウダ風ソースを長面浦の牡蠣と、他の地域の牡蠣を使って試作してみたのですが、味に大きな差が出ました。

 長面浦は、もともと汽水域(海水と淡水が混ざり合っている水域)なのですが、全国的に見ても、汽水域で育った牡蠣を扱っている所は非常に希少です。こういった環境に恵まれた場所でもありますが、震災以降は、周辺地域が非可住地域となったことから生活排水が入らなくなり、また河川の水の流入する割合が変わったことから、より美味しい牡蠣を育てる環境に適したきれいな水質となりました。そんな場所で育った牡蠣なので、この牡蠣を素材にしていることが一番のこだわりです。

 また、このこだわりは、ここの牡蠣の良さをもっともっと多くの人に知ってもらいたい、と思ったきっかけでもあります。この牡蠣を使った商品を大きく展開していければ、地元の復興にも繋がると信じています。

 

神山さん
美味しい牡蠣ができる長面浦の地形についてご説明くださる神山さん

DSC_0897
長面浦で揚がった自慢の牡蠣

ポスター
バーニャカウダ風のソースに仕上げることで、この牡蠣の美味しさを、多くの方に楽しんでもらいたい

 


6次産業化を検討している方々に伝えたいこと


『販売し利益を得ることを念頭に置いて』

 今回私たちは、初めての6次産業化で未知の挑戦でもあったことから、商品をつくってから原価計算を行い、価格設定をすることになってしまい、正直苦労しました。本来はこれを逆から行わなくてはなりません。商品の出口を見据えた上で、お客様の手に取ってもらいやすい価格帯を検討し、そこから逆算するように原価はいくらに抑えて製造する、という順序です。もちろん、今回私たちはこのことについて学んだので、今後はこの経験を活かし、商品づくりや現行商品のブラッシュアップを図っていきたいと思います。これから6次産業化に取り組まれる方にも、ぜひこの点を念頭に置いて取り組んでいただけたらと思います。

 また、私たちは震災、そしてこの6次産業化を通して、県外の方と接する機会も多くなり、その中から新たな気づきをたくさん得ることができました。例えば、これまでは売り物と認識していなかった魚介類や野菜類も、他地域、他分野の方から見れば価値あるものだと気づかされました。特に南三陸には価値ある良いものがたくさんあると思います。これまで関わることのなかった方々との接点が、視点を変え、新たな発見を得るきっかけにもなります。6次産業化にチャレンジしたいと考えている方には、ぜひ他地域、他分野の方との交流を持っていただきたいです。

 

牡蠣剥き
牡蠣剥き作業中の西村さん(写真手前)と濱畑さん(写真奥)

牡蠣
出荷される牡蠣も、加工に使用する牡蠣も、1つ1つ丁寧に剥いていく

作業場
牡蠣剥きを行う作業場

まんま・まりーの 3人(背景:海、山)
長面浦だからこその牡蠣の味わいを、多くの人に届けたいと語ってくださった「まんま・まりーの」のみなさん